子どもがどんなふうに成長しているのか、不安に思ったり、気になったりすることはありませんか?
子育ては、毎日が手探りの連続です。「うちの子、これで大丈夫?」「もっと良い接し方があるのでは?」と感じる場面も多いはず。
そんなときに役立つのが、心理学者エリクソンが提唱した「発達段階理論」です。
エリクソンの理論では、人の心の発達は8つの段階に分かれており、それぞれの時期に特有の課題(心理的テーマ)があります。特に子どもが小さいうちは、その段階を理解しておくことで、より適切な関わり方や声かけができるようになります。
この記事では、エリクソンの発達段階について、年齢別にわかりやすく解説します。保護者の方が子どもの成長をより深く理解し、日々の子育てに役立てられる内容をお届けします。
- 1. エリクソンの発達段階とは?
- ・エリクソンってどんな人物?心理社会的発達理論を提唱した心理学者
- ・親がエリクソンの発達段階を知るべき理由とは?子育てに役立つ視点
- 2. エリクソンの発達段階を年齢別に解説|子どもの成長過程を理解しよう
- ・1.乳児期(0〜18ヵ月)
- ・2.幼児期前期(18ヵ月~3歳)
- ・3.幼児期後期(4歳~5歳)
- ・4.学童期(6歳~11歳)
- ・5.青年期(12歳~19歳)
- ・6.成人期(20〜39歳)
- ・7.壮年期(40〜64歳)
- ・8.老年期(65歳〜)
- 3. 発達段階をふまえた子どもの習い事の選び方|学童期はプログラミングが◎
- ・子どもの成長に合った学びを!プログラミング学ぶなら「デジタネ」
- 4. まとめ
エリクソンの発達段階とは?
私たち人間は、年齢とともに身体だけでなく心も大きく成長していきます。
けれども、「心の成長」は目に見えないぶん、子どもの変化に戸惑うことも多いのではないでしょうか。
そうした「心の発達」に注目し、人生を8つのステージに分けて、それぞれの時期にどんな心理的な課題があるかを示したのが、アメリカの心理学者エリク・エリクソンです。この理論は「エリクソンの発達段階」あるいは「心理社会的発達理論」と呼ばれ、子育て・教育・福祉など幅広い分野で活用されています。
この理論では、各ステージごとに「乗り越えるべき課題(心理社会的危機)」があり、それをどう乗り越えるかによって、その後の人格や対人関係の形成に大きな影響があるとされています。
子どもの年齢に応じた発達段階を知ることで、「いま、どんな気持ちで日々を過ごしているのか」「どう関われば自信や安心感を育めるか」が見えてきます。エリクソンの発達段階は、子どもの気持ちに寄り添いながら関わるための、大切なヒントを与えてくれる理論なのです。
エリクソンってどんな人物?心理社会的発達理論を提唱した心理学者
エリク・エリクソン(Erik H. Erikson)は、20世紀を代表する発達心理学者のひとりです。ドイツ生まれの彼は、アメリカに渡って心理学を学び、精神分析や社会学の視点を取り入れた独自の理論を築き上げました。
なかでも有名なのが、彼が提唱した「心理社会的発達理論(エリクソンの発達段階理論)」。これは、人生を通して人がどのように自己を築き、社会と関わりながら成長していくのかを8つの段階に分けて説明したものです。
エリクソンの考えの特徴は、「心の発達は子ども時代で終わらない」という視点。赤ちゃんから高齢者まで、人生を通して発達は続くという考え方は、それまでの心理学にはなかったものでした。
また、彼自身も複雑な家庭環境で育ち、「自分は何者なのか?」という問いに悩んだ経験が、この理論に深く影響しているとも言われています。だからこそ、彼の理論には人間のアイデンティティ(自己認識)や対人関係の本質に迫る鋭さがあるのです。
親がエリクソンの発達段階を知るべき理由とは?子育てに役立つ視点
子どもが成長する中で、急に反抗的になったり、泣きやまなかったり、思い通りにいかないことが増えていく。そんな場面に、戸惑いや不安を感じたことはありませんか?
こうした行動の背景には、「その時期特有の心の課題」が関係していることがあります。エリクソンの発達段階を理解しておくと、「なぜ今、こんな行動をするのか」が見えてきて、子どもにどう寄り添えばよいのかが分かるようになります。
例えば、乳幼児期には「信頼」を育むことが大きなテーマです。この時期に親からの愛情や安心感をしっかり得られれば、その後の人間関係の土台が築かれていきます。一方で、親が過剰に不安を抱えたり、厳しく接しすぎたりすると、「自分は受け入れられない存在なのかもしれない」と感じてしまうことも。
このうように、発達段階を知ることで「どんな声かけがその子の安心や自信につながるか」がわかり、毎日の関わり方に余裕が生まれます。
子育てに“正解”はありませんが、子どもの心の動きを知るヒントとして、エリクソンの理論はとても頼れる道しるべになるはずです。
エリクソンの発達段階を年齢別に解説|子どもの成長過程を理解しよう
エリクソンの発達段階理論では、人生を8つの時期に分け、それぞれの時期に乗り越えるべき心理的な課題(心理社会的危機)があるとされています。
ここでは、各ステージを年齢別に紹介しながら、「どのような心の成長が期待されるのか」「親としてどのように関わると良いのか」について、わかりやすく解説していきます。
- 乳児期(0〜1歳半)
- 幼児期初期(1歳半~4歳)
- 幼児期後期(4歳~6歳)
- 学童期(6歳~12歳)
- 青年期(12歳~20歳)
- 成人期(20〜40歳)
- 壮年中期(40〜65歳)
- 老年後期(65歳〜)
1.乳児期(0〜18ヵ月)
課題:基本的信頼(人を信じる力) vs 不信(疑いや警戒心)
生まれてから1歳半ごろまでの乳児期は、赤ちゃんが「この世界は安心できる場所なのか?」を感じ取り始める大切な時期です。
この時期の心理的な課題は、エリクソンによって「基本的信頼vs 不信」と表されています。
赤ちゃんは、自分の泣き声に反応してくれる、抱っこしてもらえる、お腹を満たしてもらえるといった経験を通じて、「大丈夫、守られている」と感じるようになります。こうした積み重ねが、他人を信じ、安心して人と関われる力を育てていくのです。
逆に、泣いても応えてもらえない、日常的に放っておかれることが続くと、他者への不信感や不安を抱きやすくなってしまうこともあります。
親として大切なのは、「正しく対応しなければ」と気負いすぎず、赤ちゃんのサインに耳を傾け、そばにいてあげること。
たとえ理由が分からなくても、抱きしめたり声をかけたりすることで、「あなたは大切にされている」と伝えることができます。
完璧な子育ては必要ありません。赤ちゃんにとっては、「安心できる人がそばにいる」ことが、人生最初の信頼を育む大きな支えになるのです。
2.幼児期前期(18ヵ月~3歳)
課題:自律性(自分でやりたい気持ち) vs 恥・疑念(失敗への不安)
この時期の子どもは、歩いたり話したりと、できることがどんどん増えていく時期です。
親の手を離れて、「じぶんで!」と何でもやりたがる姿に成長を感じる一方で、失敗やイヤイヤに戸惑う場面も増えていくかもしれません。
エリクソンはこの時期の課題を、「自律性vs 恥・疑念」と表しました。
この時期の子どもは、身の回りのことを自分でやってみたいという強い意欲を持っています。その挑戦が尊重され、「失敗しても大丈夫だよ」と見守ってもらえると、子どもは自信を深め、「自分はできる」という感覚=自律性を育んでいきます。
一方で、親がすぐに手を出したり、失敗を厳しく叱ったりしてしまうと、子どもは「やらなきゃよかった」「また怒られるかも」と感じ、恥ずかしさや疑念を抱き、自分から行動しようとする気持ちがしぼんでしまいます。
大切なのは、うまくいかなくてもチャレンジを認めてあげること。多少の遠回りや失敗も、成長の大切な一歩として受け止め、「やってみよう」「またやってみていいんだよ」と伝えていくことが、健やかな自己肯定感につながります。
3.幼児期後期(4歳~5歳)
課題:自主性(やってみたい気持ち) vs 罪悪感(やってはいけない不安)
4〜5歳ごろになると、子どもは「〜ごっこ」遊びやお手伝いなど、自分から何かをやろうとする意欲がぐんと高まります。空想の世界を広げたり、友だちとの関わりが増えていくのもこの時期の特徴です。
エリクソンはこの時期を、「自主性vs 罪悪感」という心理的な課題で説明しています。
子どもが何かを企画したり、遊びの中でルールをつくって動いたりする行動は、自主性のあらわれ。周りの大人がその意欲を応援し、「おもしろいね」「やってみようか」と肯定的に関わることで、子どもは自分の行動に対して自信と目的意識を持てるようになります。
一方で、頭ごなしに否定されたり、「そんなことしちゃダメ!」と強く叱られたりすることが多いと、子どもは「やってはいけないことをした」=罪悪感を抱き、自分の行動や気持ちにブレーキをかけてしまうようになります。
この時期は、「どうせムリ」ではなく「どうやったらできるかな?」と一緒に考える姿勢が大切です。子どもの“やってみたい”を大切にしながら、必要なルールやマナーも少しずつ伝えていけるとよいですね。
4.学童期(6歳~11歳)
課題:勤勉性(努力する力) vs 劣等感(できない自分への不安)
小学校に入るこの時期、子どもは「勉強」「友だちづきあい」「集団生活」など、社会的な経験が一気に広がります。家庭の中だけでなく、学校という新しい環境で、「自分は何が得意か」「どうすれば認められるか」を模索しながら成長していきます。
エリクソンはこの時期の心理的課題を、「勤勉性 vs 劣等感」としています。
努力して結果が出る成功体験や、他人に認められる経験が積み重なることで、「やればできる」という感覚が生まれ、子どもは自分に自信を持ってチャレンジする力=勤勉性を身につけていきます。
一方で、何度挑戦してもうまくいかない、周囲と比べて劣っていると感じる経験が続くと、「自分はダメなんだ」と思い込みやすくなり、劣等感が育ってしまうことがあります。
この時期に大切なのは、「結果」よりも「努力の過程」に目を向けること。
「よくがんばったね」「前よりも上手になったね」と、小さな成長や努力を見つけて認める声かけが、子どもの自己肯定感をしっかりと支えてくれます。
5.青年期(12歳~19歳)
課題:アイデンティティ(自分らしさの確立) vs 拡散(自分がわからなくなる不安)
思春期に入るこの時期、子どもは身体だけでなく心も大きく変化し、「自分とは何者か」「どんな人生を歩みたいのか」を考え始めます。親や先生の価値観に従っていた子どもが、自分なりの考えや信念を持ちはじめ、反抗期や迷いが表面化しやすい時期でもあります。
エリクソンはこの時期の課題を、「アイデンティティ vs 拡散」と表現しました。
この時期の子どもは、「こんな仕事をしたい」「こういう人になりたい」と未来を描きながら、自分に合うもの・合わないものを試行錯誤しながら探っていきます。周囲から受け入れられ、自分の価値や存在意義を見出せたとき、アイデンティティ=“自分らしさ”を確立していくのです。
一方で、自分の感情がうまく整理できなかったり、周囲の期待に振り回されてばかりいると、「本当の自分がわからない」「誰にも理解されない」という感覚=拡散状態に陥ることがあります。
親としては、つい口を出したくなる時期ですが、大切なのは「聴くこと」。
子どもの言葉や選択を頭ごなしに否定せず、一人の人間として尊重し、見守る姿勢が、自分を信じる力を育てる土台になります。
6.成人期(20〜39歳)
課題:親密性(深くつながる力) vs 孤独(心を閉ざす不安)
社会に出て働き始めたり、恋愛や結婚、人間関係の幅が広がったりと、人生の選択が一気に現実的になるのが成人期です。
エリクソンはこの時期の心理的課題を、「親密性 vs 孤独」と位置づけました。
ここで言う「親密性」とは、単に人と仲良くなるという意味ではなく、自分の弱さや本音をさらけ出し、相手と深く関わることができる力のことです。信頼できるパートナーや友人との関係を築くことは、人生に安定感や安心感をもたらします。
一方で、自分に自信がなかったり、人との関係に恐れや不安を抱えていると、なかなか心を開けず、孤独感や疎外感にとらわれてしまうことがあります。誰とも深く関われないまま表面的な関係に終始してしまうと、心の中にぽっかりと穴があいたような感覚に悩まされることも。
この時期に築いた人間関係は、家庭や仕事、子育てにおいても大きな影響を与えます。だからこそ、自分自身を知り、人と向き合う勇気を持つことが、より豊かな人生の土台となるのです。
7.壮年期(40〜64歳)
課題:世代性(次の世代を育てる意欲) vs 停滞(虚しさや閉塞感)
仕事や家庭、地域社会の中で多くの役割を担いながら過ごすこの時期は、「自分が社会の一員としてどう貢献できるか」が大きなテーマになります。
エリクソンはこの時期の心理的課題を、「世代性 vs 停滞」と表しました。
「世代性」とは、子育てや仕事、地域活動などを通じて、自分の経験や価値を“次の世代”に伝えていこうとする姿勢を意味します。誰かの役に立てた、社会に貢献できている、という実感があることで、人生に充実感を感じやすくなります。
一方で、思うような成果が得られなかったり、子育てや仕事が一段落してやるべきことが見えなくなったとき、「自分にはもう何も残っていない」と感じる“停滞感”に襲われることもあります。
この時期に必要なのは、「誰かの役に立てている」と感じられる機会を持つこと。それは子どもに本を読んであげることかもしれませんし、職場で後輩を支えることかもしれません。大小を問わず、誰かの成長や安心を支える経験が、心の豊かさにつながっていきます。
8.老年期(65歳〜)
課題:統合(人生への満足と受容) vs 絶望(後悔や虚無感)
老年期は、仕事や子育てといった大きな役割を終え、これまでの人生を振り返る時期です。
エリクソンはこの時期を、「統合 vs 絶望」という心理的課題で表しました。
「統合」とは、自分の歩んできた人生を肯定的に受け入れ、たとえ失敗や後悔があったとしても、「それも含めて自分らしい人生だった」と思える感覚です。人とのつながりや思い出、残してきたものに意味を感じられることが、心の安定につながります。
一方で、やり残したことへの後悔や、失ったものばかりに目が向いてしまうと、「自分の人生には価値がなかった」と感じるようになり、孤独感や虚無感=絶望にとらわれることもあります。
老年期は、ただ「老いていく」だけの時期ではありません。むしろ、人生を通して得た経験や知恵を語り、次の世代に伝えることで、自分の存在に意味と誇りを感じられる大切なステージです。
周囲に対して穏やかなまなざしを向けながら、「よく生きてきた」と自分に声をかけられること。それが、この時期における心の健康を保つ大きな鍵となります。
参照:子どもの発達と発達課題_エリクソンの心理社会的発達課題
発達段階をふまえた子どもの習い事の選び方|学童期はプログラミングが◎
エリクソンの発達段階によると、学童期(6〜11歳)は「勤勉性(努力する力) vs 劣等感(できない不安)」という心理的課題を抱える時期です。この時期の子どもは、「できた!」という成功体験を積み重ねることで、自信や意欲を育てていきます。
だからこそ、習い事を選ぶ際には「成果が見えやすい」「やりがいを感じられる」「自分のペースで成長を実感できる」ものがとても大切になります。
その意味で、今注目を集めているのが「プログラミング教育」です。論理的思考力や創造性を育てながら、自分で考えてつくったものが画面上で動くという達成感は、まさにこの時期の発達課題にぴったりの経験です。
さらに、プログラミングは失敗→修正→成功というプロセスの連続。子どもにとって「失敗してもまた挑戦できる」という経験は、学びそのものへの肯定的な気持ちを育てる土台にもなります。
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まとめ
子どもの成長には、“今どのような心の課題に向き合っているのか”という視点がとても大切です。
エリクソンの発達段階理論は、子どもの行動や感情の背景を読み解くヒントを与えてくれる、頼もしい道しるべになります。
年齢ごとに異なる心のテーマを知ることで、「なんでこんなふうにふるまうんだろう?」という不安が、「ああ、今はこういう時期なんだな」と理解に変わるはずです。
子育てには正解がありません。けれど、子どもの“いま”を知ることは、親としてできる大きなサポートのひとつです。
泣いたり怒ったり、黙り込んだり…そんな日常のひとコマの奥にある、心の成長のプロセスに目を向けながら、ぜひお子さんとの関わりを楽しんでください。一歩引いて見守ることも、そっと寄り添うことも、どちらも大切な関わり方です。
この記事が、子どもの“こころの発達”に気づきをもたらすきっかけになれば幸いです。

デジタネ編集部は、デジタル教育やプログラミング学習の最新情報を発信しています。