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マインクラフトコースが見据える未来の働きかた



子どもたちはマインクラフトのプログラミングを通して、未来の働きかたを学んでいる!今回は、コースで子どもたちから出た面白い言葉を紹介しながら、国が描いている未来の働きかたについて考えてみます。

マインクラフトで学ぶプログラミング

マイクラの世界でプログラミング!

 マインクラフト(通称:マイクラ)は、以前の記事でもご紹介したように、いま子どもたちに大人気の「サンドボックスゲーム」です。公園の砂場遊びのように、ゲームの目的を自分で考えて自由に遊べることと、MOD(モッド)と呼ばれる追加要素を導入することで、さらに自分好みにゲームを改造して遊べることが、マインクラフトの大きな特徴です。

 このマインクラフトを「スクラッチ」で操作できるようにしたのが、D-SCHOOLオンラインの「マイクラッチコース」になります。マイクラッチでは、数百種類のブロックを使いながら、家を建てたり、鉱石を掘ったり、アトラクションやゲームをつくったりしながら、最終的に自分だけのダンジョンをつくることを目標にプログラミングを学んでいきます。

自分が動くのではなく、プログラムを動かす

 普段のマインクラフトでは、ブロックを置きたい場所に移動し、ブロックを置いて、次にブロックを置きたい場所まで移動してといった作業を繰り返して、建物や装置を組み立てます。しかし、プログラミングでは、それらの工程は必要ありません。「この場所にブロックを置く」「プレイヤーの位置を変える」などの命令を組み合わせ、くりかえすことによって、大規模な建物もすぐに作成できてしまいます。

ただし、一部分だけでも間違えてしまうと上手く動かないので、子どもたちは苦労しながらも、解説を見ながら課題を解いて進めています。

子どもたちはマイクラッチから何を学ぶのか

好奇心を爆発させる

 すべての子どもたちがマインクラフトで必ずといっていいほど夢中になるブロックがあります。それが、TNT(爆薬)です。着火すると、シューという音がしたあと、爆発音とともに辺りのブロックを破壊します。TNTをたくさん並べれば並べるほど誘爆していって、気分はさながら破壊神。

 プログラミングでも好奇心が爆発します。マイクラッチでは、どのブロックをどのくらい置くか、数字やブロック名を変更するだけで簡単に変えることができます。「間違っても良いからいろいろ試してごらん」という言葉と、少しのヒントをあげれば、子どもたちは「こうしたら、どうなるかな?」と、好奇心から様々な実験をはじめます。そして、「ダイヤモンドで家を建てるには、ここのブロックを変えればよい」というふうに、論理的な思考をする練習になっていきます。

人間がやること、機械がやること

 ゲームとしてマインクラフトを遊び、同時にプログラミングの学習としてマインクラフトをプレイしていくと、「自分でつくったほうが簡単なもの」と「プログラムをつくって実行した方がよいもの」が分かってくるようになります。ひたすらブロックを置く単純な作業や、同じ作業を繰り返さなければいけないものについては、プログラムを使うととても便利です。一方で、予め全体像を決めず「作りながら考えていく」というものについては、人間でないとできないことになります。

 プログラムは、一度作れば、それをもとに様々なプログラムに派生させることができ、その分の時間で、人間が動ける時間が増えることになります。人間が頭を使って、コンピュータをうまく使いこなすということが、これからの時代の働きかたになっていきます。そうした考え方を体感できるのが、プログラミング教育の大きな恩恵になっています。

4次産業革命を見据えて

 タートルと人間の分業の話は、人工知能(AI)が発達していく未来の社会での働きかたにつながっていきます。文部科学省では、今後の社会の在り方を見据えたプログラミング教育の意義について次のように表現しています。

 最近では、「第4次産業革命」ともいわれる、進化した人工知能が様々な判断を行ったり、身近な物の働きがインターネット経由で最適化されたりする時代の到来が、社会の在り方を大きく変えていくとの予測がなされているところである。(中略)

 教育界には、変化が激しく将来の予測が困難な時代にあっても、子供たちが自信を持って自分の人生を切り拓き、よりよい社会を創り出していくことができるよう、必要な資質·能力をしっかりと育んでいくことが求められている。

[出典:小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)]

 会社にパソコンが一人一台用意されて、働きかたが大きく変わったように、子どもたちが働くことになる未来の社会は、現在とは全く異なるものになっているかもしれません。

 IoT(モノ同士がインターネットで繋がり情報交換しながら動く仕組み)が進んでいくと、情報の量は莫大に増えていきます。例えば、家電の消費電力や利用頻度のデータがすべてインターネットで繋がると、外気温に合わせて温度を調整したり、人がいない時間の消費電力を抑えたりすることが可能になります。ここでの人間の役割は、「データを見て判断すること」ではなく、「AIが判断をする、そのための仕組みを作ること」です。

 命令をプログラミングして働かせるという行動は、「AIやロボットが得意なことはAIやロボットに任せ、人間は人間にしかできないことを行う」という未来の働き方を体現しています。人間にしかできないことをやり、それが正確に動くかを監督する。子どもたちは必ずしもそれを意識してマインクラフトをしているわけではないですが、こうした「未来の頭の使い方」が自然とできてしまうのが、マインクラフトプログラミングを学習する大きな特徴の1つです。そして、そのような頭の使い方を身につけていくことが今後より重要なものになっていくことでしょう。

この記事を書いた人
水島滉大(デジタネエンジニア)

静岡県立大学経営情報学部 卒業
高校教諭 第一種免許状(商業、情報)取得
大学ではプログラミングやマルチメディアを学び、学生時代よりプログラマとしてデジタネ(旧D-SCHOOL)をサポート。プログラミング教育に精通し、高校教諭免許を取得。
マインクラフト歴7年の日本屈指のマイクラユーザー。
マインクラフトユーザー、現役プログラマ、そして教育者の3方向から子どもたちが楽しく学べるコースを開発中。
2019年夏にKADOKAWAより「自分で作ってみんなで遊べる!プログラミング マインクラフトでゲームを作ろう!」を出版。

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